VPNは、公共WiFiのセキュリティ対策や、海外サーバーを経由して自国では視聴できない動画配信サービスを楽しむためなど、さまざまな目的で利用されています。
日本ではVPNの使用は合法とされていますが、世界にはVPNの利用を制限・禁止している国も存在します。
この記事では、VPNの使用が違法とされる国や地域、そしてどのような使い方が罰則の対象となるのかをわかりやすく解説します。
VPNの利用を検討している方は、ご自身の居住国で合法かどうかをこの記事を通して確認しておきましょう。

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VPNの利用は違法か?合法なのか?
結論からお伝えすると、VPN(仮想プライベートネットワーク)が違法になるか、合法になるかは利用する国の法律に基づきます。
たとえば、日本ではVPNの利用は合法とされており、どのような目的で使用しても、それ自体が違法行為と見なされることはありません。
実際、日本政府もサイバー攻撃や情報漏えい対策としてVPNの活用を推奨※しており、インターネット通信を暗号化する技術として、企業から個人まで幅広く利用されています。
※情報参考元:https://www.soumu.go.jp/main_content/000560571.pdf
日本やアメリカ・ドイツなどの欧米諸国では合法
日本で合法とされているVPNは、アメリカやドイツをはじめとする欧米諸国でも広く利用されています。
VPNは、インターネット上の個人情報やクレジットカードなどの決済情報を保護したり、サイバー攻撃から機密情報を守るためのセキュリティ対策として、多くの企業で導入されています。特にリモートワークが一般化した現在では、VPNの重要性はさらに増しています。
このようにVPNは、多くの国において「禁止されるどころか」、日常生活やビジネスに欠かせないインフラとして活用されているのが現状です。
国によっては違法になる場合もある
日本や欧米諸国ではVPNは合法とされていますが、一部の国ではVPNの利用が違法、あるいは厳しく制限されているケースもあります。
これらの国々がVPNを規制する主な理由には、以下のようなものがあります。
VPNを規制する主な理由
- 政府の情報統制に反する行為の抑制
- テロ活動などへの悪用の防止
- 有害コンテンツへのアクセス制限
VPNは、第三国のネットワークを経由してアクセスする仕組みのため、政府がブロックしているWebサイトやサービスへの検閲を回避できる手段としても知られています。
そのため、検閲回避を防ぐ目的で、VPNの利用自体を禁止または制限している国も存在するのです。
VPNが違法の国・厳しい制限のある国
この章では、VPNの利用が法律で禁止されている国や、厳しい制限が課されている国について紹介します。
あわせて、なぜそのような規制が行われているのか、各国の背景や理由についてもわかりやすく解説していきます。
中国 | 認められたVPN以外は違法になる可能性がある
中国は、政府による言論統制や反政府活動の抑制を目的に、非常に強力なインターネット検閲システム「金盾(グレートファイアウォール)」を導入している国として知られています。
このため、日本でも一般的に使われているLINEやInstagramといったSNS、GoogleやYahoo!などの検索エンジンも、中国本土ではアクセスが制限されています。
VPNについても、中国政府が認可した一部のVPNサービスのみが利用を許可されており、それ以外のVPNを使用すると違法と見なされる可能性があります。「VPN」という言葉自体も中国ではセンシティブな表現とされ、監視対象になることもあるほどです。
もし中国国内で日本のWebサービスやSNSを利用したい場合は、「金盾」を回避できる適切なVPNの利用が必要となりますが、利用できるVPNは非常に限られており、慎重な選定が求められます。
ロシア | VPN禁止法が施行される
ロシアでは、2017年11月1日にプーチン政権のもとで「VPN禁止法」が施行され、それ以前まで国内にサーバーを設置していた多くのVPNプロバイダが、撤退を余儀なくされました。
この法律は、ロシア政府が指定するブラックリストに登録されたサイトへのアクセスを遮断することを目的としています。しかし実際には、政権に不都合な情報の拡散を防ぎ、世論のコントロールを強化する意図もあると広く指摘されています。
2025年現在、ロシアでは、政府に認可されていないVPNの利用は原則禁止されており、個人が使用した場合でも処罰の対象となる可能性があります。
北朝鮮 | 現地民はVPN利用で禁固刑になる可能性も
北朝鮮では、現地の一般市民がVPNを利用した場合、最悪のケースでは禁固刑などの重い刑罰を受ける可能性があります。これは政府による厳しい情報統制の一環であり、自国民によるインターネットの自由な利用自体が大きく制限されています。
ただし、外国からの観光客や滞在者がVPNを使用することに関しては、現時点では特に問題視されていません。
北朝鮮に住む人々は、VPNどころか一般的なインターネットへのアクセスさえも困難であり、政府の厳格な情報統制のもとで日常を送っているのが現実です。
ベラルーシ | インターネット検閲で反政府活動を抑止
ベラルーシでは、反政府活動や市民による抗議運動を抑える目的で、インターネットの検閲が強化しています。これに伴い、検閲を回避する手段としてのVPN利用も違法とされています。
政府の強権的な体制のもと、自由な情報へのアクセスが厳しく制限されており、海外のニュースサイトやSNSなども満足に見ることはできません。
トルクメニスタン | 政府による厳しいインターネット制限でVPNも禁止
トルクメニスタンも、政府による厳格な情報統制のおかげで、国内のインターネット環境は非常に制限されており、政府が許可していないサイトやSNSへのアクセスはほとんど不可能です。
トルクメニスタンは、世界でも最もインターネットの自由度が低い国のひとつとされており、VPNの使用は非常にリスクの高い禁止行為となっています。
イラク | テロリスト対策で法律でVPNは禁止
イラクでは、2014年から法律によってVPNの利用が禁止されています。これは、ISISやアルカイダなどのテロ組織による国内外への影響を防ぐことを目的としたもので、特にSNSを通じた情報発信や勧誘活動の封じ込めが重視されています。
政府は、VPNを使って検閲を回避する行為がテロリストの活動につながると考えており、そのため国内ではVPNの利用自体が違法とされています。
イラン | 政府に認可されていないVPNは禁止
イランでは、政府に認可されていないVPNの使用は禁止とされています。
当局は、未認可VPNの利用を通じて「ポルノ」や「反政府的なコンテンツ」へアクセスする行為を厳しく取り締まっており、違反者には罰金や拘束といった処罰が科される場合もあります。
オマーン | VPNの利用には政府の通信規制当局(TRA)の認可が必要
オマーンでは、個人によるVPNの使用は原則として禁止されています。政府の通信規制当局(TRA)は、暗号化通信を制限しており、個人が許可なくVPNを使用することは違法とされています。
TRAからの許可なくVPNを使用した場合、個人には約1,300ドル(約17万5,000円)、企業には約2,600ドル(約35万円)の罰金が科される可能性があります。
制限はあるがVPNが合法の国
次に、制限付きでVPNの利用を合法としている国の紹介です。
UAE | VPNの一般的な利用は合法
UAE(アラブ首長国連邦)では、インターネットのセキュリティ強化やリモートワークなど、正当な目的でのVPN利用は合法とされています。
ただし、VPNを使用して政府が禁止しているコンテンツ(ポルノサイト、ギャンブルサイトなど)にアクセスしたり、サイバー犯罪に用いた場合は、重大な違法行為とみなされ、罰金や拘束といった厳しい刑罰の対象になります。
トルコ | 合法だが利用できるVPNは限定される
VPN自体は合法のトルコは、世界の中でもインターネット検閲の規制が厳しい国で有名です。
日本人におなじみのFacebook、X(旧Twitter)、インスタグラム、YouTubeの利用もトルコ政府は禁じています。
VPNサービスの多くはトルコでは利用ができなくなっており、トルコで利用できるVPNは限られます。
エジプト | 合法だが、政府の検閲回避のVPN利用は違法になる
エジプトでは、VPNの使用自体は法律で明確に禁止されているわけではなく、一般的には合法です。
しかし、2018年に施行された「サイバー犯罪および情報技術犯罪防止法」の第14条では、VPNなどのツールやソフトウェアを使って政府によってブロックされたウェブサイトにアクセスする行為は違法と明記されています。
違反した場合、少なくとも1年の懲役と5万~10万エジプトポンド(約35万~70万円)の罰金が科せられる可能性があり、非常に重い処罰が想定されています。
シリア | VPNは違法ではないが制限強化が進んでいる
シリアでは、VPNの使用自体は違法とされていません。
ただし、政府はインターネット検閲を回避する手段としてVPNを利用することを制限するために、インターネット検閲と監視体制を強化しています。
ウガンダ | SNS税の脱税によるVPNの利用を制限
ウガンダでは、SNS利用に課される税金(OTT税)に反対する国民の多くが、OTT税の回避手段としてVPNが使いました。
OTT税のためにVPNを利用する国民が急増し、ウガンダ政府がVPNの使用を制限しました。
ウガンダでのVPNは違法でありませんが、VPN利用は厳しく制限されています。
違法となるVPNの使い方に注意
日本や欧米諸国など、VPNの利用が合法とされている国では、通常の用途であれば何の問題もありません。
しかし、VPNを悪用して、違法アップロードされた海賊版動画を視聴・販売・ダウンロードしたり、ダークウェブ上での薬物取引など、違法行為に関与することは犯罪に該当します。
VPNはあくまでセキュリティとプライバシー保護のためのツールであり、違法行為の隠れミノとして利用すれば、重い処罰の対象となる可能性があります。
VPNを利用して違法になった例
この記事で紹介した国々でVPNを利用して違法とされ、罰則を受けたケースを紹介します。
国 | 時期 | 事例 | 罰則 |
中国 | 2023年 | 河北省のプログラマーが、政府の許可を得ていないVPNを使用して国外のネットワークに接続し、トルコ企業向けにソフトウェア開発を行った | 100万元(約1,600万円)以上の罰金 |
中国 | 2019年 | 広東省南雄市の男性が「藍燈(Lantern)」というVPNソフトを使用して国外のウェブサイトにアクセス | 警告と1,000元(約15,000円)の罰金 |
UAE | 2016年 | 政府が禁止するVoIPサービス(例:Skype、WhatsApp通話)へのアクセス | 最大で200万ディルハム(約5,450万円)の罰金 |
実際に、VPNを利用して罰則になった事例は多くありません。
ただし、上記のように実刑判決まで至った事例もあるので、VPNが禁止される国では使用しないことを推奨します。
日本で国外の動画配信サービス・WebサービスをVPN経由で見るのは違法?
VPNを利用して日本から海外の動画配信サービス(例:Netflix US版やHulu US版など)を視聴することは、日本の法律上は違法ではありません。
同様に、海外からVPNを経由して日本の動画配信サービス(TVerやU-NEXTなど)にアクセスすることも、VPNの利用が合法な国であれば基本的に問題ありません。
ただし、多くの動画配信サービスでは、利用規約で「地域制限の回避」を禁止しています。これに違反した場合、アカウントの一時停止や強制解約といった措置が取られる可能性があります。
そのため、VPNを使った視聴は法律違反ではないものの、規約違反となるリスクを理解したうえで、自己責任で利用することが重要です。
よくある質問
VPNの法律的な観点において、よくある質問をまとめました。認識不足で違法にならないように、VPNを利用検討をしている方は目を通してください。
VPNがダメな理由は何ですか?
違法行為やサービス規約違反に使われる可能性があるためです。
NetflixでVPNを使うことは違法ですか?
違法ではありませんが、利用規約違反となる可能性があります。
VPNでジブリを見るのは違法ですか?
法律上は違法ではありませんが、配信元の規約に反する場合があります。
トレントにVPNを使用することは違法?
トレント自体は合法ですが、著作権侵害に使うと違法になります。
まとめ
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、サイバー犯罪から身を守るための有効な手段として、世界中で活用されています。特に、公衆Wi-Fiのセキュリティ強化や、企業・個人のプライバシー保護の目的で広く利用されています。
一方で、VPNが違法な使い方に悪用されるケースもあるため、「VPN=違法」と誤解している人も少なくありません。
実際には、法律でVPNが禁止されている一部の国を除けば、合法な範囲で使う限り、VPNは非常に便利で安全なサービスです。
当サイトでは、日常生活で役立つVPNの活用法を紹介しています。ルールを守ったうえで、ぜひ快適なVPNライフを自己責任で楽しんでみてください。
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